無臭モデリング

無臭でのプラモデル製作を目指しています。

スーパー・ササダンゴ・マシン

新潟県に坂井精機という金型製作の会社があります。

https://www.kanagata-is-sakaiseiki.com/

この会社の代表取締役は坂井良宏さんとおっしゃるのですが、「スーパー・ササダンゴ・マシン」という別名でも知られています。またはマッスル坂井。プロレスラー。ところですごいドメイン名ですね。ちなみに我が家の本棚にはマッスルのDVDが何枚かあります。気持ちが滅入ったときに見ると元気が出ます。AMAZONとかでは売っていなかった。直販だけでした。パッケージ見たらISDN入っていない潔い仕様でした。

今回ご紹介するのは、プロレスラーであるところのスーパー・ササダンゴ・マシンの12分の1スケールモデルのプラモデルです。作っているのは坂井精機のプラモデル事業部。本製品は同事業部の最初の製品となります。制作している会社の代表取締役と、製作しているプラモデルのモデルとなっているプロレスラーがたぶん同一人物。という、歴史的・世界的にまれにみる事例となっております。

開封が楽しい

スーパー・ササダンゴ・マシーンの箱

箱はこんな感じ。無地の箱に完成図のシールを貼っている。会社名は印刷ではなく従業員がスタンプを押しているというような発言を某媒体で拝見しました。箱を見ただけでは、そこについてはわかりませんでしたが、もし本当なら印刷と同等の品質を手押しスタンプで実現していることになります。すばらしい。

色とりどりのランナー構成

ランナーはこんな感じで多色成形。金型製作会社としての技術を存分なく発揮しているのではないでしょうか。私の父親もBtoBの製造業に従事していて「金型っちゅうのはカネがかかるだわ」とつぶやいていたのを記憶しています。たぶんこの金型で何千万単位の投資が必要ではないだろうか。その点がきっとの販売価格にも反映されています。価格は5,500円。5,500円。

世界に冠たるタミヤスケールモデルと比較すると、 1/35 ドイツIV号戦車F型・伝令バイクセット“北アフリカ戦線” と同額です。ただこの結果を見ると、「タミヤ高くなったな」という感想を抱いてしまいします。2号戦車F型700円が基準なので。いつの基準なのかはおいといて。

ガンプラに例えると、最近のマスターグレードがこのくらいの価格帯。100分の1です。本キットは12分の1。そこは比較するところではありませんね。失礼しました。そもそも本キットはキャラクターモデルなのかスケールモデルなのか。

プロレスラーのプラモデルは、本キットだけではありません。たしかお店で新日本プロレス内藤哲也選手のキットを拝見したことがあります。値段は……

https://sp.njpw.jp/258016

3,200円。マックスファクトリーだ。これってプロレスラーがキット化されているのかな?と思ったら全然違った。

https://special.goodsmile.info/plamax2020/

オカダとか棚橋とか武藤とかはキット化されていない。内藤だけ。スケールは20分の1なので、ササダンゴマシーンのほうがでかい。その点ではロスインゴを坂井精機プラモデル事業部が上回っています。ちなみに12分の1はオートバイのプラモデルと同じ縮尺です!

ランナーは、ABCDとかいうわかりにくい舶来由来の表記ではなくて、平安時代から培われてきたカタカナを採用。いろはにほへとではなくて、代表取締役の名前から「サカイヨシヒロ」を採用。サ・ランナーとかイ・ランナーとか、まあそういうことです。

説明書はアジャイル

説明書も読んでいて楽しい。タミヤの説明書のように、兵器にまつわるエピソードがわかるとかそういうわけじゃありませんが、「ここはこうやってくみたてたほうがいいですよ! ツイッターで意見があったので反映します」という感じで作られています。すばらしい。

仮組み

こんな感じになります。多色成形。の到達点および限界。マスクはいい感じですが、額のエンブレムが無力。デカールほしい。デカールって高いのかな? そこはわからんが印刷物だろうから金型ほどではないと推察。

マスクとともに、ベルトはもっと凝ってほしかった……というのが本音。でもプラモデル進出第一弾だから許す。ファインモールドだって最初はそうだった。

仕上がりの観点から言うと、額のエンブレムとベルトのクソでかいバックル内の表記はデカールに寄せてしまったほうが良かったような気がする。この先金型で解決するのは難しそう。アップデートで、水転写デカールに使える印刷データを公開する、という方向でもいいのかもしれない。

組み立てと塗装について

スナップキットなので接着剤は不要だが、一部ダボというかピンがとてつもなく深いところがある。素直に組んでも問題ないが、今回は塗装も考慮に入れていたため、ダボを浅くして接着に支障がないように取り計らった。

今回は - 肌色部分→ファレホで塗装 - コスチューム緑、白、紫→キット成型色そのまま - リングシューズ→シルバーで塗装、凹部に墨入れ、凸部(靴紐)は白でドライブラシ塗装 です。

コスチュームは、緑、白、紫が別パーツ化されている。金型製作会社として素晴らしい。

肌色部分は、キットそのままだとすけすけ感があるので塗装。影もちょっと入れた。本人は日焼けしていなくて色白だが、それを踏襲すると模型としての見栄えがあかんので、やや皮膚色は濃くしました。

ちなみにキットの額のエンブレムとベルトのバックルの文字部分は凸部なので、ベースになる色を塗ってからドライブラシで色をのせています。松本州平のドライブラシを使っています。あと、肌色はすけるから塗装したほうが見栄えはいいと思います。

気をつけが標準姿勢

で、完成したのですが、撮影のために立たせる段階で一苦労。

このキット、足首の可動域に期待できません。丸ジョイントでつながっているものの、可動域は広くない。ちょっと広げようとすると、すぐ足首が抜けていまう。

プロレスラーぽいっていうか、足を肩幅に広げるようなポーズは取りにくいです。取っても安定しなくて転ぶ。足を肩幅に開いて、爪先はちょっと外側に開くと、転びます。

休め!ではなくて気をつけ!の姿勢で、ちょっとつま先を内側に向けるくらいの姿勢が一番安定しています。いまのところ。

ノットアクションフィギュア

肘関節は鋭角に曲がらない、足首可動域は旧キットのザク並、肩関節の自由度は高そうと思わせておいて、大胸筋広背筋三角筋およびそれを覆う脂肪層の忠実な再現によって、50肩並。ですので、直立してマックブックをもってプレゼンしているところ以外の再現性は期待できません。バーディクトとか雪崩式リーマン・ショックとかは再現できない。つまりアクションフィギュアではありません。そこはじゅうぶん納得した上で購入いただきたい。私は納得した上で購入しました。

悪魔の囁き

「もっと買って、マシン軍団再現、さらには魔界倶楽部を再現するべし……」という悪魔の囁きが聞こえてきます。スーパー・ストロング・マシンならいけるかな。体型的に。

あと、アフターパーツで首から上だけキット化して500円くらいで売ったらいかがでしょうか。そこだけ買う人がいると思います。

以上です。購入はササダンゴ商会のサイトからどうぞ。サイン入りを買ってアマゾンで転売している人の寝具にトコジラミが出現しますようにお祈り申し上げます。

あと、このマスクのデザインって意匠登録とかされているのかな? と思って検索してみましたが、されていないようですね。プロレスのマスクでは2件登録されていましたが、どっちも知らないマスクでした。

sasadango.thebase.in